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その一滴は何をどこまで伝えられるのか?

子供の頃書道を習っていました。
現在も気持ちを整えたいときに墨を磨り筆をはしらせています。
習い始めのころは墨汁を使っていました。無造作になみなみと硯に注いでいたところ「そんなにいらない」と先生からひとこと。今思えば、必要な量を必要なだけ用意しなさいということを伝えたかったのかなと。たしかその時は半紙4文字を主に練習してたと記憶しています。レッスンが終わってもかなりの量が余りました。確かに、その時私が用意した墨の量では状況に対して多すぎる。小筆の場合は、いったん筆が墨を適量吸えば補給分はほんとうに少ない量でかなりたくさんの文字を書くことができます。ケースに合わせて「ここまでが良い」という程よさに気がつくまでには多くの経験が必要ですね。

たったこれだけでも小筆で30分は書けます。

この一滴で、どのくらいの文字が書けるのか?何が表現できるのか?
何かを学ぶことは、表面上ではその分野を深めることが目的であると同時に、本質的には様々な物事に置き換えて考えられるようになることなのではないかと感じています。

今、あえて墨を磨るようになってなみなみと作るには時間がかかることも体感しました。
あらかじめ用意されたものはあらゆるものの集大成で、それを考えずに贅沢をしてはいけないなと省みながら、準備に手間をかけています。

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