2021年末、呼吸筋ストレッチ体操の認定指導士の資格を取得しました。以後、ボイストレーニングや、日常的な生活にも呼吸の指導を取り入れています。先日行われたフォローアップ研修会の際、本間先生のお話の中で興味深かったのは、鼻呼吸は記憶を司る海馬の活動も活性化するということ。鼻の中を通る気流が起こす刺激がかなり重要なのだそうです。これについては様々な研究結果も出ているようです。それ以外にも、鼻呼吸は口呼吸よりも湿った空気を取り入れることができるなど、様々な利点があります。鼻呼吸、オススメです。その中で、吐く息のスピード調整などができるのでストレッチ体操では鼻で吸って口で吐くという動作を行なっています。
さて、今回のフォローアップ研修会で個人的な質問にお答えいただきました。
人は、生まれるとき、なくなる時、呼吸の「吐く」「吸う」はどちらで始まり、どちらで終わるのか?本間先生や松野先生から、とても深く、貴重なお話を伺うことができました。母親の胎内にいる頃から胎盤呼吸は行なっているけれども、母体から出てきた時に炭酸ガスの交換で肺呼吸に変わる。そこで第一の呼吸は非常に強い吸気で始まる。そして、次に第一の呼気、吐く息でワアー!と泣く。なので、最初に起こる呼吸という観点では「吸う息」となる。では、我々がなくなる、最期に起こる呼吸は?段階を経て、下顎呼吸に至り、さいごはため息のように長い呼息で止まる。脳の神経活動が終わり、膨らんだ肺がもとに縮んでいく。つまり、「吐く息」で止まるのだそうです。
科学的な観点からの回答は、人は生まれてから息を「吸うこと」に始まり、なくなるときに「吐くこと」で終わる。呼吸は生きていることの実感で、発声はその運動の中にあります。そう考えると、呼吸ともにある「声を発する」という運動に、より強いメッセージを感じてしまうのは私だけでしょうか…。発声は吐く息によって声門を閉じ、声帯を振動させながら声を出す運動です。良い響きを作るには呼吸の質の向上も必要と考えています。私のボイストレーニングでは、姿勢、呼吸、共鳴、ことば、この4つの観点から声を出すコミュニケーションにアプローチをしていくことを目指しています。そのため、この呼吸法を発声の前の準備運動や緊張緩和としても取り入れられたらと思い学びはじめました。長く続くマスク生活、コミュニケーションの制限、その他ストレスなど様々な要因により現代人は呼吸が浅くなっているそうです。肺は、自力で膨らんだり縮んだりすることができません。呼吸筋という胸郭を取り巻く筋肉によって肺が収縮し呼吸運動をすることができます。老化とともにその筋力が衰えたり、十分に息を吐ききらないまま、余分な空気が残っている状態で次の息を吸うと余計に強く吸い込み力が必要になり、息苦しさを感じてしまうそうです。呼吸を整えることは、姿勢を良くしたりリラックス効果ももたらします。
もともと、老化、ストレス、不安障害、COPDなどが原因でもたらされる呼吸困難を、呼吸のメカニズムを知り正しい呼吸法を身につけることで緩和するために行われているこの呼吸筋ストレッチですが、まずはゆっくり吸って、ゆっくり吐く。体の中の空気を入れ替え、心身ともに健康に生活できる方法を身につけながら様々な活動に繋いでいくことも大切なのではないかと考えています。ご興味ある方はお声かけください。
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